大腸カメラとは
正式には大腸内視鏡検査もしくは、下部消化管内視鏡検査と呼ばれています。胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)と同じように長い電子スコープの先端には、CCDカメラや物をつかむ鉗子(かんし)、照明が搭載されています。
大腸カメラ検査をする際は、スコープの部分を肛門から挿入していきます。
それによって大腸の内腔の様子を観察できるようになるのですが、大腸は曲がりくねった構造になっているので、スコープを挿入していくことは容易なことではありません。
このようなことから最近は、挿入時にスコープが腸壁に触れると自動的に曲がるようになって、さらに奥にスムーズに進んでいくタイプの機種が開発されるなど年々進化してきており、検査時に苦しさを感じる場面というのも少なくなってきております。
また観察するだけでなく、がんなどの病変が疑われる組織やポリープを発見したという場合は、スコープの先端に搭載されている鉗子を使って、組織を一部採取する(生検)、ポリープを切除するといったことも可能です。
大腸がん検査の重要性
大腸がんは早期発見が大切
大腸がんという病気は、かつての日本人にとっては馴染みのないものでした。しかし戦後、急速に食の欧米化が進むと共に患者数も増加していくようになりました。
ただ大腸がんを発症したとしても、病状はゆっくりと進行するので、大きな腫瘤になるまでには数年を要すると言われています。
そのため早期に発見し、速やかに治療に努めることができれば、その大半は完治できるとも言われています。
しかし、発症初期から自覚症状が現れることはないので、なかなか早期の段階から気づくことは難しいと言われています。
大腸がんの早期発見に活躍する大腸カメラ
早めに大腸がんを発見するには、自覚症状が現れる前から定期的に検査を受けることが大切です。
なお、大腸がんを発見する検査には、「便潜血検査」、「注腸X線検査」、「大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)」があります。
その中でも有効とされているのが、大腸カメラです。
なぜなら、疑わしい組織があれば生検をして詳細を顕微鏡で調べることができるほか、発見したポリープを可能であれば、内視鏡で切除することも可能としているからです。
大腸がんを早めに発見するには、大腸カメラ検査を定期的に受けるようにしてください。
大腸カメラを受けた方がよいとされる方の主な症状
- お腹にしこりを触れる
- 腹部に張りを感じている
- 体重が急激に減少した
- 便に血や透明な粘液が混じっている
- 最近、便秘や下痢などの便通異常に悩まされている
- 腹痛がある
- 便秘と下痢を繰り返している
- 以前と比べると便が細くなっている
- 残便感がある、排便の回数が増えている
※血便、便通異常、腹痛は大腸疾患の3大症状です
大腸カメラでわかる病気の例
大腸ポリープ、大腸がん、炎症性腸疾患、感染性腸炎、大腸憩室症、潰瘍性大腸炎 など
当院の大腸カメラ検査の特長
内視鏡専門医による大腸カメラ検査
消化器内視鏡専門医とは5年以上の指導施設での研修、内視鏡検査の診療実績、日本消化器内視鏡学会が実施するセミナーを定期的に受講し、専門試験に合格した内視鏡検査のスペシャリストです。
ちとせ台内科クリニックでは経験豊富な消化器内視鏡専門医である院長によるやさしく・ていねいな大腸カメラ検査を行なっております。
大腸カメラ検査の流れ
●検査の前日
- 食事は控えるようにします。
なお、飲み物は、水やお茶、スポーツドリンクといった濁りがない飲料に制限はありません。 - 常用薬のある方、通常通り服用ください。
インスリンや経口血糖降下薬を用いる糖尿病患者様、血液をサラサラにする血栓予防の薬を使用されている方は、医師の指示に従ってください。 - 入れ歯や眼鏡が検査に支障をきたすことはありません。
●検査当日
- ご自宅で下剤を服用し、透明な便になる(腸がきれいになる)と検査可能な状態です。
- 飲食物の摂取(水や濁りのないお茶などの飲料はOK)、喫煙は控えます。
- 常用薬のある方は、検査が決まった時点で医師に相談ください。なお、糖尿病薬は服用中止いただき、血液をサラサラにする薬(ワーファリン)は検査が決まった時点でご相談ください。
- 入れ歯や眼鏡は外します。
- コルセットやガードルを身に着けている方、検査前に外しておきます。
大腸カメラによる検査時の流れ
1.検査準備
ご来院されたら、まず看護師が排便状態を確認いたします。
その後、検査時に衣服が汚れないように専用のガウンに着替えていただきます。
そして内視鏡を挿入する前の準備段階として、検査台(ベッド)に横になって腹部の緊張を和らげた後、腸の動きを抑制する注射を打ちます。
また検査時の苦痛をできるだけ避けたい方には、この時点で検査時の苦痛などが不安という方には鎮静剤を投与していきます。
2.検査の開始
大腸カメラ(大腸内視鏡)を肛門から時間をかけて挿入していきます。その際は、気張ることなく、力を抜いて姿勢で臨むようにしてください。
検査時間につきましては、観察のみであれば10分程度で終了します。
なお、ポリープが発見された場合は切除による治療、病変が疑われる組織がある場合は一部を採取(生検)することもあります。
3.検査後
大腸カメラによる検査が終了し、身支度を終えると看護師から検査後の注意点について、いくつか説明があります。
なお、ご気分が優れない場合は、我慢することなくお早めに看護師にお申し出ください。
また検査時に鎮静剤を投与された方は、検査終了後30分~1時間程度は処置室のベット等でお休みいただきます。
4.検査結果の説明
検査結果に関しては、院長が直接説明いたします。
その際は、検査時に撮影した実際の画像を交えながら行っていきます。
ポリープ切除をした場合は、切除後の注意点なども説明します。
なお、ポリープ切除や生検(組織検査)も行った患者様については、検査から2週間ほど経過した日に再び来院していただき、改めて結果をご報告いたします。
大腸カメラが初めての方へ
大腸カメラを初めて受けられる方は、何かと不安を抱くと思います。
当院では、院長から事前に大腸カメラについての説明を行うほか、被験者の方が聞きたいとされる、大腸カメラを受けられる前に必要とされる検査(感染症検査の有無)から、検査前日の消化の良い食事(検査食)のとり方、常用薬や検査当日に服用する下剤のこと、肛門から大腸カメラを挿入する際の方法、挿入時に関する違和感、苦痛を軽減させる鎮静剤についてなど、気になることすべてにお答えいたします。
そのうえで、ご同意いただき、ご納得されてからの検査となります。
わからないことや心配なことは、そのままにせず、お気軽にご相談ください。
50歳を超えたら大腸カメラ検査をおすすめします。
先にも述べましたが、大腸がんは発症初期では自覚症状が現れることは、ほぼありません。
ある程度まで進行すると、血便、下痢と便秘を繰り返す、便が細い、腹痛といった症状がみられるようになります。
自覚症状が出てから気づくという場合は、病状が大分進行していることもあります。
そのため、早期発見に欠かせないのが、大腸カメラをはじめとする大腸がん検査です。
日本人の大腸がんの特徴としては、50歳を過ぎた頃から罹患率が増加していきます。
また男性患者は女性患者の2倍ほど多いと言われています。
このほかリスク要因として、
- ご家族の罹患歴
- 肥満
- 飲酒
- 運動不足
- 高脂肪食
- 肉類中心の食事
などが挙げられます。
これまで腸に何の異常も感じられないという方でも、加齢や日頃の生活習慣などが原因で、すでに大腸がんを発症していたというケースも少なくありません。
人間ドックで発症に気づいたという方も良く見受けられます。
そのため50歳を迎えるという方は一度大腸カメラによる検査をお勧めします。
その後、何の異常がなかったとしても、便潜血検査は毎年、大腸カメラは3年に1回程度は受診するようにしてください。